院長の独り言

2023-08-28 17:24:00

消化のしくみ

食物中の3大栄養素は、糖質、蛋白質、脂肪です。これらはどのように体の中で消化されているのでしょう。

消化とは栄養素を体の中に取り込むために食物をある程度まで小さくする働きのことです。消化作用には、歯で噛んだりする機械的消化、消化酵素によって分解する化学的消化、消化しきれずに大腸まできた食物を腐敗・発酵させる生物学的消化の3つがあります。

ごはんやパンなどの糖質は、唾液の中のプチアリンという酵素によって、でんぷんがデキストリンや麦芽糖に分解された後、小腸の中で膵臓から分泌されるアミロプシンという酵素で本格的に消化されてしょ糖や乳糖になります。そこで小腸粘膜から吸収され毛細血管に入ります。

肉や魚などの蛋白質は、胃液の中のペプシンによって分解されて分子の小さいペプトンとなり、小腸内で膵臓から分泌されたトリプシンやキモトリプシンによってより小さいポリペプチド、オリゴペプチドになり、小腸粘膜から吸収されます。

脂肪は、小腸に至るまでほとんど消化を受けませんが、膵臓から分泌されてステアプシンによって、グリセロールと脂肪酸に分解され、小腸粘膜からリンパ管に入り、全身を回ります。

3大栄養素が小腸で消化しきれなかった場合は、大腸において腸内細菌の働きで糖質は発酵、蛋白質や脂肪は腐敗して排便に適した形まで変化した後、排出されます。大便特有のガスと臭いはこうして発生するのです。


2023-07-19 11:33:00

3大栄養素のかたちと働き

猛暑が続きますが、みなさまおかわりごさいませんか。

今回は3大栄養素についてのお話です。

3大栄養素とは、炭水化物、脂肪、たんぱく質ですよね。これらの物質の構造はどうなっていて、体の中ではどう働いているんでしょうか?

 炭水化物は、糖質とも呼ばれていて、でんぷんなどは自然界に普通に存在していますね。このでんぷんは多糖類で、単糖類が複数つながったものです。単糖類はいわゆるブドウ糖などのようにこれ以上分解することのできない糖です。

 消化吸収されるのは大部分がブドウ糖で、その他の単糖類もありますが、肝臓でブドウ糖に変換されます。肝臓や筋肉には多糖類のグリコーゲンという形で蓄えられていますが、利用される時はブドウ糖の形に変えられます。体内では主にエネルギー源として使われます。>
 脂肪は、脂肪酸を含んでいる化合物の総称です。体内ではこれらの脂肪酸はトリグリセリドやリン脂質などの形で存在していたり、再び脂肪にして体に蓄えられたりしています。

 トリグリセリドは、エネルギーの貯蔵源として働き、リン脂質は細胞の成分として働いています。また、トリグリセリドは、体内で糖に変えられたり、逆に糖がトリグリセリドに変えられたりします。エネルギー源として有効に使われるわけです。

たんぱく質の原料は、アミノ酸です。各種のアミノ酸がつながることでいろいろな種類のたんぱく質が存在します。アミノ酸が約10個以下の場合はオリゴペプチド、10個以上の場合はポリペプチドとも呼ばれます。

 小さい形で吸収されたアミノ酸は、肝臓内でいろいろな形のアミノ酸に組み替えられ、主に体の細胞の原料となります。

自分の体内で組み替えて作ることができないアミノ酸を必須アミノ酸といい、これを含んだたんぱく質を補給しなければなりません。

2023-06-16 17:10:00

鉄の不足と貧血の関係

貧血の中でも一番多い、鉄欠乏性貧血について少し詳しく説明しましょう。

 

通常は、特別な偏食がない限り、鉄分の摂取量が極端に足りなくなることは多くはありません。どういった場合に体の中の鉄分が不足してしまうのでしょうか?

 

まず一つは、胃潰瘍や大腸癌などの病気があって消化管からの出血がじわじわ続いていると、出血した分の赤血球を補うために骨髄での造血作用が進みますが、その時に原料である鉄が不足してきて、鉄欠乏性の貧血になります。

 

消化管からの出血が一度にドンと起こるとショックになったり血便がでたりして早く気づくのですが、じわじわ出血している場合には、貧血として症状に現れます。

 

もう一つは、女性の場合に多くみられるのは、子宮筋腫などの婦人科疾患がある場合です。子宮筋腫では、生理の量が多かったりして、定期的に失われる血液が多くなりがちで、鉄欠乏になりやすいといわれています。子宮筋腫がなくても、生理の量が極端に多かったり、長く生理が続いたりする場合も鉄欠乏の状態が起こっていることがあります。

 

鉄欠乏性貧血のある場合は、こういった原因が考えられるので、検便や胃カメラ・大腸検査、エコー検査などが行われることがありますので、早めにご相談ください。

 

 

2023-05-21 15:25:00

排泄物について

人間の排泄物である尿と便の違いはわかりますか?

 

簡単に言えば、尿は血液の中の不要な物、便は腸の中で不要になった物です。尿は腎臓で作られます。腎臓は血液の中から必要のない物質を濾過・濃縮して尿ができます。一日の尿量は普通の場合1.5リットルです。

 

尿をみると体のいろいろな状態がわかります。蛋白が混じる場合は腎臓の病気が隠れていることがありますし、糖が混じる場合は糖尿病がないかどうかを調べます。潜血(血液成分が混じる)反応があれば、腎臓や膀胱の病気・尿管結石などを調べます。

 

尿中の塩分量を調べることで、一日に摂取している塩分の量を推測できるのです。たとえば、尿中塩分量が1リットル中8gであれば、その1.5倍の12gが一日塩分摂取量です。高血圧の予防などのために、一日の塩分摂取量を10g以下にすることをお勧めしています。

 

2023-05-04 14:21:00

血圧の測り方

この連休中、晴天が続きますね。いかがお過ごしでしょうか。

血圧とは血管の中の血液の圧力の事です。血圧を示す時に上の血圧、下の血圧などと表現しますね。一回の血圧測定で2つの血圧がでてくるのはどうしてでしょうか?

普通に行われている血圧の測り方は、腕にマンシェット(空気を入れてしめつける袋)を巻いて水銀の血圧計を用いますよね。血圧の表し方は○○○/△△△mmHgになります。mmHgは水銀柱を何ミリ押し上げる圧力があるという意味です。○○○はいわゆる上の血圧、△△△は下の血圧と言われています。

いわゆる上の血圧とは心臓が収縮して血液を全身に送り出す時の血圧=収縮期血圧、下の血圧とは心臓が拡張して血液を送り出した後、平衡を保った時の血圧=拡張期血圧です。

収縮期血圧は、マンシェットで動脈を締め付けて動脈を通る血液を遮断した後、マンシェットを少しずつ緩めて、血流が再開する時の血圧です。

このとき、腕の動脈の上に置いた聴診器からは血管雑音が聞こえ始めます。この理由は、圧迫された血管の中を流れる血液に渦ができるためです。

さらにマンシェットを緩めていくと、血管雑音が聞こえなく時の圧力が拡張期血圧です。血管の圧迫がとれて、血液に渦ができなくなった時です。

つまり、マンシェットを緩めていって、腕の動脈に当てた聴診器から、血管雑音が聞こえ始めた時の血圧が収縮期血圧、血管雑音が聞こえなくなった時の血圧が拡張期血圧です。最近は、自動血圧計が普及して、家庭でも簡単に正確に血圧が測定できるようになりました。家庭で使う血圧計を購入する場合は、手首や指で計る血圧計よりも、腕に巻くタイプの血圧計を選びましょう。こちらの方が正確です。

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